ワガママ狼男と同居始めました。
志木side
狼男の日常。
<朝>
『志木っ、気を付けて行ってきてね!』
休みには帰ってくる。
お前の好きな人の世を、たくさん見て、たくさん聞いて、たくさんの人と交わってくる。
そうしてお前にたくさん話してやる。
丙と丁は雪のような白毛だから、人の世に出るのは大変だろう?
俺が行かないと……。
『志木』
あれ、ここは東京なのに。
どうして丁がいるんだ?
『人の世は楽しい?』
楽しいよ。すごく。
俺の正体を知っても好きだと言ってくれる人もいるんだ。
『私も…………連れていって欲しかった。』
だって、丙がいるからって…………
『私だって…………志木のことが好きなのに。』
そんなことを言ったって…………
『置いていかないで…………』
『志木』
……ジリリリリリリリリ…………
慌てて目覚まし時計のスイッチを切る。
夢…………
妙に鮮明に焼き付いてしまった……。