ワガママ狼男と同居始めました。




志木side



狼男の日常。

<朝>



『志木っ、気を付けて行ってきてね!』


休みには帰ってくる。

お前の好きな人の世を、たくさん見て、たくさん聞いて、たくさんの人と交わってくる。

そうしてお前にたくさん話してやる。

丙と丁は雪のような白毛だから、人の世に出るのは大変だろう?

俺が行かないと……。


『志木』


あれ、ここは東京なのに。

どうして丁がいるんだ?


『人の世は楽しい?』


楽しいよ。すごく。

俺の正体を知っても好きだと言ってくれる人もいるんだ。


『私も…………連れていって欲しかった。』


だって、丙がいるからって…………


『私だって…………志木のことが好きなのに。』


そんなことを言ったって…………


『置いていかないで…………』




『志木』






……ジリリリリリリリリ…………


慌てて目覚まし時計のスイッチを切る。


夢…………




妙に鮮明に焼き付いてしまった……。






< 101 / 243 >

この作品をシェア

pagetop