ワガママ狼男と同居始めました。
紅葉の髪に触れる。
日本の人間らしい、真っ黒な髪だった。
初めて意識して触ったけど、軽くて艶のある髪だった。
俺の髪は銀がかった黒だから、なんだか汚れているようで嫌だ。
「まっすぐな黒髪だな。」
「……そりゃ、どーも……。」
『置いていかないで』
まただ……。
こんなのただの妄想だろ……?
最近、丁の夢をよく見る。
暗闇に映える雪のような白毛が俺の方を振り返るときに、風になびく。
『……丁はお前に惚れていたんだ。』
じゃあどうして生きている間に言ってくれなかったんだ……?
そしたら、俺はきっと…………
お前のもとに戻ったのに……。
俺は丁のことが好きだったのか……?