ワガママ狼男と同居始めました。
「紅葉と言ったか?この間は悪かったな。」
「い、いえ……。それより人の姿で辛くないんですか?」
「変身してもよいか?」
「もちろんです!」
丙さんの狼姿は志木とは少し違って、全体的に細身で、かっこいいというより美しかった。
「やはり独りで暮らすのは寒いよ。
志木が手紙をよこしてくれてすごく嬉しかった。」
「志木も丙さんが来るって知ったあとすごく張り切ってました。」
「フフ……あいつも可愛いところがあるな。」
徒歩5分でアパートについてしまった。
志木の部屋のインターホンを押す。
志木は人の姿でドアを開けたが、私たちだと分かると、すぐに狼になった。
「ありがとう、娘。」
「いえ、おやすみなさい。」
狼2匹に頭を下げる光景はどう見ても私がバカに見えるだろう。
10月とは言え、結構冷えた。
私は小走りで家まで急いだ。