ワガママ狼男と同居始めました。
「志木……」
「うるさい……」
「志木……!」
志木は人の姿に変身し、私のあごを強引に持ち上げた。
「うるさい!」
「し……き…………」
「黙んないとその口ふさぐぞ。」
志木の顔が私の顔に近づく。
「……じゃない…………」
私の声に反応して志木が動きを止める。
「……好きじゃないくせに…………」
頬を伝った涙が志木の手に落ちる。
「私がいるからここに帰るんじゃないくせに。
キスする人なんて誰でもいいくせに。」
リビングにテレビの音だけが響く。
「……どうして私のこと見てくれないの?
どうして私のこと好きになってくれないの?
私はこんなに好きなのに!
あんな派手な子達よりも!
奏よりも岡田ちゃんよりも!
丁さんよりも!!」
志木の親指が私の涙を拭った。
「……好きって言ったら……?」