ワガママ狼男と同居始めました。




「藤間さん。」


「あ……。えっと、何……?」


志木に『藤間さん』って呼ばれると、ドキッてする。

志木が呼ぶと、私のことを呼んでるんじゃないみたい。



「これ、先生から渡しとけって。」


「……ありがとう。」



手渡されたのは、四つ折りにされたプリント1枚だった。



プリントを手渡すと、志木はとっとと自分の席に戻ってしまった。




キーンコーンカーンコーン…………


その時、チャイムが鳴り、みんなが席に着いたので、こっそり開けてみた。



A4の大きい紙に、小さく、

『放課後一緒に帰ろう。南門で待ってる。』

と書いてあった。



い、一緒に帰るって…………


確かに南門にはあんまり人来ないけど……。


志木の方を見ると、一番右の列だから、横にある壁にもたれ掛かっていた。


あれ、ちょっと体調悪そう……?


私には気付かず、後ろの席の霧島くんに話しかけられ、笑顔で話していた。


別に元気か…………




志木にもらった紙をたたみ直して、落としたりしないようにカバンの奥底に隠した。








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