ワガママ狼男と同居始めました。
「高校に通う!?何を言っているんだ!!」
丙が声をあらげる。
俺は今15歳。
「人間は俺たちと同じだ。俺達は獣と人間の中間の存在だ。今、獣の世界で生きているんだ。人間の世界でも生きられる!!」
丁と何度も町へ下りて分かった。
人にも俺たちと同じくらい温かいやつがいる。
「……どうして……。わざわざ東京まで行かんでも……。」
「いいじゃない、お姉ちゃん。志木にだって自由に生きる権利はあるよ。」
「…………。」
「今までありがとう。休みには帰ってくる。」
そう言って俺は洞窟の外に出た。
「志木っ!」
丁に呼び止められ、振り返る。
「気を付けて行ってきてね!!」
満面の笑顔を浮かべる。
「……お前も来るか?人の世界は好きだろう?」
丁は小さく首を横にふる。
「私にはお姉ちゃんがいるから。」
俺は笑顔を作り、雪の上を進んだ。
大丈夫。
俺の温もりはここにしかない。
絶対に帰ってくる。
それまで待っててくれ。
丙。丁。