ワガママ狼男と同居始めました。
狼男の家族
紅葉side
まずい……。
宿題が……終わらない……。
今日は8月31日。
手紙が来てから2週間は経つのにまだ丙さんは来ない。
「志木ー……。宿題終わったんでしょ?手伝ってくださいー……。」
「しかたねぇなぁ……。」
志木が私のとなりに座り、数学の問題集を解き始める。
ずっと気になっていたこと。
丙さんと志木って一体どういう関係!?
わざわざ会いに来るって……
まさか恋人とかじゃないよね!
さんざん私にキスとかハグとかしといて……!
「志木……?」
「あ?」
「丙さんと志木ってどういう関係なの……?」
「……んー……。丙とは……んー……。」
そんな答えづらいような関係なの!?
「丙とは……あれだ。家族みたいな……。
丙は俺の姉か母親みたいなポジションだな……。手紙の文面からも分かるけど、昔かたぎで素っ気ないやつだけどな。」
姉か母親……。
ちょっと安心した……。
「丙には妹がいてな。名前は丁。『丁』って書いて『ひのと』。俺たちと同い年なんだ。
丙のことを綺麗って言うなら、丁は可愛いって感じのやつ。
こいつは人里に下りるのが好きで、よく一緒に……ピンポーン
その時、インターホンが鳴った。
通話画面を見ると、見たことのない女の人が映っていた。
まさか……。
「どなたですか?」
その女の人は声にビクッとして辺りを見回した。
間違いない……。
「志木……。丙さん。」
そう言うと、志木は子供のように玄関の方へ走っていった。