ワガママ狼男と同居始めました。
「ひのえっ!!」
志木を追って玄関に向かうと、丙さんと楽しそうに話す志木がいた。
近くで見ると、丙さんは志木の言う通り凄く綺麗な人だった。
目つきは志木みたいに鋭くてきつめの印象だけど、白い髪を後ろでお団子にし、背も高くてスタイルもいい。
狼人間はみんな美系になるのか……?
その時、丙さんが私を急に見たので、私は硬直した。
「お前が『紅葉』というヒトか?」
「あ……はい。」
丙さんが私に近づく。
「はじめまして。いつも志木が世話になっている。少しだけど受け取ってくれ。」
そう言うと、丙さんは袋を手渡した。
私の手に渡ると、ジャラっという音がした。
「これお金っ……受け取れません!!」
「いいんだ。それより着いてきてくれ。」
そう言うと、丙さんは歩き出した。
この人に『遠慮』という言葉は無駄だったみたい……。