ワガママ狼男と同居始めました。
お金を家に置き、鍵を閉めて、丙さんのあとを着いていく。
もうすぐ日が暮れるのに……。
歩いている途中、志木が色々話しかけていたが、無視されていた。
10分ほど歩いて、着いたのは廃ビルの屋上だった。
周りに低い建物しかないから夕日がかかった山が見えた。
「……てっきり丁と一緒に来てくれたんだと思った。」
「…………。」
私は着いてこない方がよかったよかな……。
でも丙さんなら邪魔なら「邪魔だ」って言ってくれそう……。
夕日を背にしているので、丙さんの顔はよく見えなかった。
長い沈黙の末、丙さんが口を開いた。
「……丁が死んだ。」
「……え……。」
志木が目を大きく見開く。
丁さんが……死んだ……?
「……なんで!!」
志木が叫ぶ。
日が沈み、丙さんの顔がよく見えた。
険しく、泣きそうな顔をしていた。
「……ヒトに……狩られたんだっ……。」
志木が下唇を強く噛んだ。