ワガママ狼男と同居始めました。
紅葉side
丙さんの爪が首に食い込む。
「やめろ!そいつは関係ない!!」
「関係あるさ。こいつはヒトだ。」
「……でも…………。」
「……それにお前……ずいぶん辛そうだな?
夜にヒトの姿を保つのも苦労するようなやつに、ヒトの世は生きていけんよ。」
「……っ…………」
志木…………。
もしも志木が山に帰りたいなら私には止められない。
でも、もし、人間の世界で、私の家で暮らしたいのなら……。
志木と目があった。
悲しそうな目だけど、丙さんでもなく、丁さんを想うでもなく、私をまっすぐ見ていた。
分かったよ。
志木。
志木に目でサインを送る。
信じてるよ。
私は足に力を込め、屋上から飛び降りた。