ワガママ狼男と同居始めました。
<学校・午後>
志木は授業中は主に寝る。
それでも頭がいいから腹が立つ。
寝ると言っても、寝方がすごく上手いから、先生はもちろん、誰にも気づかれない。
「藤間、今度カラオケ行かね?」
休み時間、霧島くんに話しかけられる。
霧島くんは休み時間になるたびにクラスの女子全員に話しかける。
「ごめん……。買い物いく予定があるから。」
買い物というのはスーパーでの食料品調達のこと。
「なんだよぉ。藤間全然遊んでくれなくてつまんねぇよ……。」
「だって紅葉ほぼ一人暮らしだもんね!」
岡田ちゃんが会話に入ってきた。
「ちょっと……岡田ちゃん……。」
「へぇ~、藤間一人暮らしなの!すげぇ!!」
素直に感心してくれた。
変に「複雑な家庭」みたいなレッテルを貼られなくて良かった……。
志木は相変わらず女子と話している。
というか、話しかけられている。
志木とは本当に事務連絡くらいしか話さない。