郷愁的な夢
8年くらい前の話。

夕太も私も小学生4年生だった。

幼稚園も、小学校もずっと一緒だった。

帰るときも、遊ぶ時も、いつも仲が良かった。

夕太はすごく運動神経もよくて、頭もよかった。

一方、私はごく平凡な女子だった。

どこにでもいる普通の顔立ち、成績も普通だし、運動神経はややいまいちだった。

元気と人当りの良さだけが取り柄だったけれど、これだけは言える。

どんなときでも私は夕太の傍にいたし、これからもずっとそうだって思っていた。

何にも考えていないといえばそれまでだったけれど、ずっとこんな日々が続くんだって、そう思っていた。

「ねぇ、夕太ちゃん」

私は窓ごしに締め切ったカーテンを眺めていた。

窓の桟にたまった埃を指でなぞると、あの頃の記憶がよみがえってきた。
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