もう…我慢できない
「くるみー?」
「あ...なぁに?」
慌てて現実に戻った。
「ボーっとしてるからさ。でも...桃香ちゃんにはビックリだったよね。まさか心配して、くるみんとこ来るとは思わなかったし」
杏奈も桃香ちゃんの事考えてたんだ...。
「俺、聞いたんだけどさ...」
「ん?なに?ハル」
「桃香ちゃんはさ、...熱湯かけられた事あるらしいぞ」
熱湯!?
「はぁ!?まじなのそれ?誰に聞いたの?」
「...準斗」
えっ。
「くるみが階段から落ちた日の夜、準斗を呼び出したんだ。一発殴ってやろうと思って」
「まじ!?」
「うん。でも殴れなかった。アイツさ、苦しんでたから。『俺のせいでくるみがケガした』って。マジで自分責めて苦しんでたから。そして桃香ちゃんの事も話してきたんだ。ハルだから言うけどって。それでさ....桃香ちゃんの背中にはヤケドの跡が残ってるらしい。手のひらくらいの大きさだって」
ゾッとした。
あたしも、死ぬかもしれない事されたけど、運良く打撲だけで済んだ。
でも、桃香ちゃんは傷跡がシッカリ残ってるんだ。
その傷を見るたびに苦しくなるよね。
女の子の体に大きな傷が残るのは、大変な事。
人生に関わる事だってある。
コンプレックスになって苦しむよ...