もう…我慢できない
「そう。桃香ちゃんから準斗を奪うの。それしか思いつかないよ。くるみが楽になる方法...ってかあたしだったら奪うね」
まぁ、杏奈の性格なら奪うだろうね。
でもあたしは出来ないよ。
だって....
「無理だよ。桃香ちゃんメッチャいい子じゃん...」
そう。桃香ちゃんが性格悪いならあたしは遠慮なく行かせて貰うよ?
でも桃香ちゃんは優しい子なんだ。
あたしが廊下で杏奈と走り回って遊んでる時、どんくさいあたしは転んでしまった。足を床に強く打ち付けてしまって痛がってるあたしの所に偶然見てた桃香ちゃんが駆け寄ってきた。
「大丈夫!?……そうだ、ちょっと待ってて」って何処かに行ったかと思ったらスグ戻ってきて
「はい、これで冷やして?」って自分のハンカチを濡らして渡してくれた。
なんて優しい子なんだろうって感動したんだ。
同時に胸がズキズキと痛んだ。
あたしはこんな素敵な子をライバルにしようとしてるんだって思った。
「それは分かるけどさ....じゃぁどうすんのさ?ってかさぁ...」
杏奈は少しイラついたように声が大きくなった。
「準斗も準斗だよね!!」
「えっ?」
その言葉の意味が分からずあたしはキョトンとした。