未来からの贈り物
第5章『プロポーズ』
早まらないで
…たったこれだけの文。
今日の僕にとって嫌がらせ以外の何ものでもない。
けれど僕の決心は変わらない。
机の上に置いてあったプレゼントを上着のポケットに入れ、足早に待ち合わせ場所へ向かった。
ずっと志穂さんが見たがっていた恋愛映画。
…内容はきっと素晴らしかったのであろう。
彼女はラストで目を真っ赤にして泣いていたのだから。
けれど僕はこれからの事を考えるあまり、映画に集中できなかった。
そのせいか彼女の
『良い映画だったね。』
という言葉に曖昧な返事しかできずにいた。
そして予約を入れておいた『高級レストラン』
…とは言っても僕にとって高級というだけで、おそらく普通のレストランなのであろうが、普段僕が行く店と比べると、かなり雰囲気の良い店である。