性悪シンデレラ-顔がよければ性格がいいわけじゃない-
「あの、申し訳ありませんが私はお妃などは…」
「あぁ、そうですお妃様。王子から伝言がございます」
(だからアタシはお妃なんかじゃ…って)
「伝言…?」
不思議そうに首を傾げると、従者のひとりが頷きシンデレラに近寄ります。
そして、ひっそりと声を小さくして言いました。
「『貴方の願いは出来る限り叶えよう。私のお妃になるのなら不自由な暮らしもさせない。そして』」
そこで言葉を区切る従者に先を促すように見つめます。
「『私は貴方の本質を見抜いています』」
「本質…ですか」
「はい、王子はそう仰られました」
礼儀正しくお辞儀をする従者を横目にシンデレラは考えます。
(アタシの本質って多分、この性格のことだ。まぁ、あのドMだしな)
今までバレたことなど一度もなかったから驚いているシンデレラですが、頭の中は冷静でした。
それよりもシンデレラが気になるのは出来る限り願いを叶えるという言葉です。
シンデレラは従者に訊ねました。
「あの、もしも私が一緒にお城に連れて行ってほしい人たちがいるとお願いしたら、連れて行ってもらえますか?」
「勿論です」
従者は即座に頷きます。それにひそかに笑みを浮かべたシンデレラはちらりと母と姉たちに目を向けました。
三人は悪寒を感じ、一歩後ずさります。が、シンデレラは容赦なく彼らに告げました。