性悪シンデレラ-顔がよければ性格がいいわけじゃない-
「では、お母様とお姉様方を一緒に連れて行って下さい。………私の専属メイドとして」
にやり、そこには悪魔が舞い降り彼女たちを襲いました。
三人は従者を目の前に逃げ出せるはずもなく、泣く泣くお城に向かいました。
そして。
「あぁ、私の妃よっ!待っていたぞっ!」
お城の中に入ると王子様がシンデレラに抱きつきました。シンデレラはにこりと笑うと王子の足を思いっきり踏みつぶしました。
「あぁっ!素晴らしいっ!」
王子様はドMなので嬉しさのあまりふるふると震えています。
「チッ、変態が。あんまりアタシに触るなよ」
「…はぁ、その美しい顔で罵声を浴びせてくれるなんて私は幸せ者だっ」
呼吸の荒い王子様と言葉遣いの悪いシンデレラに母と姉たちは呆然としました。
「なぁ変態、あのババァ共アタシのメイドにしていいよね?」
「メイド?君がそうしたいならそうすればいいさ」
「そうか。ありがとな、変態クソ王子」
「あぁっ!幸せだっ!」
こうして、お妃様になったシンデレラはというと。
「おい、茶はまだか?」
「も、申し訳ありません、シンデレラ…」
「あ?シンデレラ様だろうが」
「シンデレラ様…」
母と姉たちはシンデレラにこきを使われる日々。
「今日も綺麗だよ、シンデレラ」
「お前に言われなくても分かってんだよ。もっとマシなこと言えないのか?能無しだな」
「あぁっ!もっと私に罵声をっ!」
王子はシンデレラに罵られて喜ぶ日々でした。
シンデレラは母と姉たちの変わり果てた姿をみて笑います。
「悪いな。アタシはやられたら倍以上にして返す主義なんだ」
これはシンデレラによるシンデレラのための物語。
それはまだ、始まったばかり。
【END】