性悪シンデレラ-顔がよければ性格がいいわけじゃない-
一通り笑った彼女はふらりと立ち上がり、顔を上げました。
その表情は目を細め口角が上がっており、シンデレラには似つかわしくない、まるで先程の母や姉たちと同じような意地悪い顔をしています。
「毎日毎日本当飽きねぇな、あのクソ共」
そして、さらに似つかわしくない言葉を吐き出しました。
「掃除も洗濯も炊事も何ひとつできない役立たずが生意気なんだよ、調子のんなっての」
にやりと笑みを浮かべ、彼女は思います。
「アタシをこんな目に合わせてること、必ず後悔させてやる」
もうそれはそれは、悪魔のような笑顔でした。
シンデレラは床にこぼれたバケツの水を放っておき、さらには頼まれた炊事や洗濯などを一切サボり、ふと窓から外の様子を見ました。
(…夜だ)
確か今日は舞踏会だったはず、とぼんやりと眺めながら考えるシンデレラ。
「だからか、いつもよりも無駄に着飾ってたのは」
彼女はたまに母や姉たちに着られているドレスを哀れに思っていました。
「あんな顔ブス性格ブスのババァ共に着られるなんて可哀想だな」
ふぅ、とため息をつきながらも目は外の闇から反らせません。