性悪シンデレラ-顔がよければ性格がいいわけじゃない-
「……、別に行きたいわけじゃないし」
そう口にするものの、彼女の顔には大きく行きたいと書いてあります。
「王子様とか興味ないし……、舞踏会だって…」
「本当は行きたいのでしょう?」
ぶつぶつと口にしていると自分しかいるはずのないこの部屋に、唐突に低く柔らかい声が響きました。
「誰だっ!」
「こんばんは、魔法使いです」
「……」
「……」
「………よし、警察を呼ぼう」
「ってええっ!? そこは普通『魔法使い!? 素敵だわっ!』っていうところでしょう!?」
「悪いな、アタシはそんな乙女じゃない。現実的なんだ」
「くっ、なんてことですかっ!」
ガガガガーンとピアノ音が何処からか流れ、照明を浴び手を床におく魔法使いを完全に無視したシンデレラは電話を探します。
「あ、電話発見」
「え、もしかして本気で警察に連絡を…?」
「当たり前だろ。不法侵入なんだから」
受話器をとった彼女は番号を押そうと指を伸ばしました。
しかしその前にボフンッと電話が爆発し、警察に通報することが出来なくなってしまいました。
「……」
「フフフッ! 魔法で壊したのですっ!驚いたでしょうっ!」
杖を持った魔法使いの男が得意げに威張るがシンデレラはそれに屈しませんでした。
何故なら。