性悪シンデレラ-顔がよければ性格がいいわけじゃない-
「別にいい。スマホあるし」
さらりとそう言ってのけたシンデレラはゴソゴゾとワンピースのポケットからスマホを取り出し、見せつけます。
「なんですとっ!何でそんなハイテクなものを持っているんですかっ!」
「因みに魔法使いには壊せない優れ物」
「本当に何でそんなもの持ってるんですかっ!くそっ!」
ギリギリと悔しそうに歯を噛みしめる彼に笑みを浮かべ、早速通話機能にし番号を入力します。
が、またもやそれは出来ませんでした。魔法使いに腕を掴まれてしまったのです。
「お願いですから通報しないで下さいっ!もうこれ以上警察にご厄介になったら僕今度こそクビなんですっ!」
うるうると今にも泣きそうな魔法使いは彼女に一生懸命懇願しました。
(……厄介になったことあるのか、コイツ)
「お願いしますからっ!貴方を舞踏会に連れて行って差し上げますからっ!」
ピクリ、再び反対の手で番号を押そうとしましたがこの一言でシンデレラの行動は止まりました。
ちらり、と彼を見やり一言呟きます。
「電話機」
「勿論弁償しますっ!」
「………ちゃんと連れて行ってくれるわけ?」
「勿論ですっ!」
ふーん、とシンデレラはスマホをポケットの中に戻しました。それに魔法使いは心底安堵の息を吐きます。