性悪シンデレラ-顔がよければ性格がいいわけじゃない-
「……今のは、聞かなかったことにします。それでかぼちゃは何処に?」
「かぼちゃはここだ」
そうしてかぼちゃ、野良犬、野良兎を持ってシンデレラは気分良く、魔法使いは冷や汗をうっすらとかきながら家の外に出ました。
「では、今から馬車を用意します」
「早くしろ」
「……………では、てっててーんっ!」
「変な呪文だな」
「僕が一番気にしてることを言わないで下さい。馬車と従者の完成です」
かぼちゃは乗り物になり、野良犬は白い馬、野良兎は燕尾服を着た従者へと大変身しました。
「最後に、貴方のドレスと靴ですね。それでは、てっててーんっ!」
杖を振りかざすと、キラキラとした渦がシンデレラを包み込み、あっという間に綺麗な淡い水色のドレスにガラスの靴という格好になりました。
「…へぇ、やるじゃんお前も」
「でしょでしょっ!」
くるりと一回転したシンデレラはふわりと年頃の女の子らしい微笑みを浮かべて、かぼちゃの馬車に乗り込みます。
「あ、シンデレラ! 夜中の12時には魔法は解けてしまいます。その前には戻ってきて下さいっ!」
「…………やっぱり使えない」
「これは魔法協会で決められていることなので僕のせいじゃありません」
「行ってくる」
「あ、ちょっ、スルーしないでくださーいっ!」
魔法使いの言葉を背に、シンデレラはかぼちゃの馬車で舞踏会が行われるお城に向かいました。