性悪シンデレラ-顔がよければ性格がいいわけじゃない-
お城に到着したシンデレラは輝きをはなつ黄金色の髪と彼女の美しさを際立たせる空色のドレスを靡かせて優雅に歩きます。
シンデレラは元々教養があったので美しく歩くことなど容易いことでした。
城の扉を開け中に入ると、シンデレラはあまりの眩しさに目を細めます。
「これが、舞踏会…」
ごくりと息を呑み込み、彼女は音楽が流れる会場に足を踏み入れました。
すると次々とシンデレラを振り返った紳士淑女はほぅ、と感嘆します。
「美しい…」
「あんな女性見たことない…」
「一体どなただ?」
ひそひそと上がる声の中で、母と姉たちを視界の端で見つけほくそ笑みました。
(悔しがってる悔しがってる)
口からこぼれそうになるのを押さえていると、スッと目の前に影が出来ます。
それに視線を上げると、手を差し伸べられました。
「私と踊っていただけますか?」
それはこの国の王子様だったのです。