性悪シンデレラ-顔がよければ性格がいいわけじゃない-

シンデレラは勿論頷き、その手をとります。

そして会場の中心までエスコートした王子様は、シンデレラの腰を引き寄せて一緒に踊り始めました。

一曲だけだとシンデレラは思っていましたが、それを見事に裏切った王子様は何曲も何曲もシンデレラと踊りました。


「あっ」


(しまったっ!)


シンデレラは顔を小さく歪めます。流石に踊りすぎて疲れたのか、王子様の足を踏んでしまったのです。

恐る恐る見上げますが、顔には影がかかっておりよく分かりません。ですが王子様は踊りながら微かに震えていました。


(怒らせたか…?)


「あの、王子様…、申し訳ありません」

「…いや、問題ない」


しかしシンデレラは直ぐに王子様に謝ったことを後悔しました。

彼の顔が見えたは見えたのですが、その表情は怒りでもひきつり笑いでもなく、恍惚としていたのです。


(この王子…、もしかしてドMか!?)


それを知った瞬間、今すぐ王子様の手を振り払い背負い投げをかましてから逃げ去りたい衝動にかけられました。
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