【完】┼S o u r S w e e t┼
「わざわざ…聞いてくれたの?」
「奈緒が会いたそうな顔してたから」
いつも背中を押してくれる葉月に感謝しながら笑顔を返す。
「で、住所見慣れてるでしょ?」
「…うん」
「それは偶然だったけどね」
紙に書かれた住所は、あたしの職場と番地違い。
社名を見れば、向かい側のビルだっていうことがわかった。
一緒に住んでた頃にスーツで出ていくのは見てたけど、まさかの向かい側…。
それなら教えてくれても良かったのに。
でも…
「こんなに近いのに、今まで会えなかったなんて…」
と、自分の運命を少し恨んでみたり。
「そんなこと気にしないの。ちゃんと会いに行くんだよ?」
「うん…葉月、ありがと」
「気にしないで」