四季。姉の戻らない秋
秋
いかなる理由でもいい。
家族を亡くしたことは、ありますか。
穏やかな母と、気さくな父。
そして感情の起伏がやや激しいけれどやさしい姉を持って、わたしは皆川家の次女として育った。
仲のいい家族だった。
父の長期休暇のときは家族で出掛け、記念日にはプレゼントを贈り合い、囲む食卓には絶えず笑い声が響いていた。
父と母はわたしが物心ついた頃から変わらず愛し合っていて、家でも外でも寄り添っている間はずっと手を繋いでいるような2人だった。
わたしと姉もそんな両親が自慢で、大好きだった。
姉は社交性と愛嬌のかたまりみたいな性格で、常にまわりに人がいた。
人の輪のなかで笑顔をふりまき、笑わせていた。
周囲の人たちは姉にそれを望んでいたし、姉もそれに応えていた。
割りと引っ込み思案なわたしは誰からも愛される姉が眩しくて、羨ましくて、両親と同じように大好きだった。