四季。姉の戻らない秋
それは去年も手向けられていて、姉の命日に訪ねてきた平良さんに聞いても彼じゃないとのことで、他の誰かが姉のために祈りを捧げてくれていることが嬉しく、同時に切なかった。
その日の夜、初めて平良さんに電話を掛けた。
今年もまた花が手向けられていたこと、両親のこと、わたしのことを話した。
彼はまた無理するなと、姉の命日にまた家に来ると言った。
通話の切れた画面を眺め、耳元で聞こえていた彼の声を思い出した。
姉もこの声を聞いていたのかと思うと、わたしは泣きそうになる自分の弱さを恥じた。
時間が欲しい。
汚れのようにこびりついた傷を癒すだけの時間が。
巡る季節に押し寄せる回想の痛みを、過ぎた思い出だと割り切れるまでの時間が。
変わってしまった日常を、慣れるための時間が欲しい。