四季。姉の戻らない秋
誰かに責めてほしかった。
姉の死んだ夜、となりの部屋にいたわたしを。
眠りに就くまえ、微かに聞こえた姉の話し声を聞いていたわたしを。
あの夜姉の1番近くにいて、なにも気付けなかったわたしを。
『どうして』『なんで』と責めてほしかったのに、誰もそうしないから謝ることもできなかった。
わたしさえ姉の異変に気付いていたら、姉は死なずに済んだのに。
本当はなによりも知っていた。
わかっていた。
父や母の悲しみが、今はもうすでにわたしに向けられているものだと。
わたしら両親を気遣うフリをして、壊れそうになる心を必死に護っていた。
姉の死と向き合えていないのは、他でもない、このわたしだった。
どうにかして姉を遠ざけたくて、消えてほしくなくて、姉を思い起こすものから目を逸らし、今ではもう耳元で聞こえる悪夢に身を委ねていた。