四季。姉の戻らない秋
その告白に合わせるように、初めての彼ができたとはにかむ姉に告げられた。
通っていた塾で知り合い、同じ志望校ということで親しくなったらしいその彼とわたしが初めて会ったのは、わたしが中学2年になったある夏の日だった。
『こよちゃんは平良に会うの初めてだよね?平良だよ。よろしくね』
そう言ってとなりに佇む平良さんを紹介した姉は、とても幸せそうな笑顔だった。
彼はわたしが6月の林間学校に行っていた間に家に来ていて、両親と顔を合わせ、ひどく気に入られたということをお土産を受け取る姉から聞いていた。
なんでわたしがいないときにと思っていたけれど、平良さんの姉を見る目にその不満も消えた。
やさしい目を知ったその日から兄のように彼を慕った。
姉の笑顔にこの2人がずっと一緒にいてくれたらと心の底から思った。
父と母もきっとおなじ想いだったと思う。
姉の幸せは、彼の腕のなかにある。