四季。姉の戻らない秋



でも、姉は死んでしまった。


窒息死だった。

大量に酒と薬を飲んで意識障害を起こし、吐き出そうとしたものが咽喉に詰まってのことだったらしい。

同時にリストカットもしていた血塗れの姉を抱き起こしたという平良さんの服には、赤黒い血が付いていた。

姉の友達から連絡がきて、姉の様子がおかしいと知り助けに来たのだと言っていた。

待合室ですべてを聞いた。

わたしはあの夜、姉におやすみと言ってリビングで別れてから、手術室から出てきた冷たくなった姉に会うまで、姉の異変に気付けずにいた。


わたしは呑気に眠っていた。

サイレンの音で目を覚まし、深夜にそぐわない家のなかのざわつきに部屋を出たわたしに、母と平良さんが救急車に乗ったから父とわたしで車で病院に行くと、上着を羽織りながら馴れない早口で父は言った。

病院で会った母は未だ嘗てないほど強い力でわたしにしがみ付き、その手についた血は黒く固まっていた。



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