ライバルは空の上
ACT1~1月23日·9:10 羽田~
出発前のブリーディング(飛行計画を元にしたパイロット、コ·パイ(副操縦士)、客室乗務員との打ち合わせ)を済ませ、私はこれから搭乗する飛行機目指して、同僚·後輩CAと共に空港内にあるレストラン街を歩いていた。
1階から2階にあるレストラン街を通り過ぎ、航空会社の関係者だけしか通れない連絡通路に入ると、数メートル手前の私に向かって、一人の女性が歩いている。
私の気配に気付いたか? 女性は笑みを浮かべながら歩くスピードを少し速めて、こちらに向かって歩いてくる。
笑みを浮かべ返す私と、近付いてくる女性との距離が縮まり、そして私の左側を通り過ぎる瞬間、彼女は一瞬立ち止まり、そして声を発した。
「これからフライト?」
「えぇ、広島までね」 「そう、相変わらず忙しそうね」
気遣いの言葉を掛ける彼女を見て、私は笑みを浮かべ声を発する。
「美貴も特技の英語力をフル発揮して、頑張ってるじゃない?」
照れ笑いを浮かべる彼女は言葉を返す。
「そういう礼子も、接客のプロとしてフル発揮してるじゃない?」
フテキな笑みを浮かべる彼女を見て、私は声を発する。
「今度、異業種の女子会をやりましょう」
「いいわね、それ! 幹事他日程が決まったら教えてね、礼子」
右手を振り上げ、歩き出す彼女を見る事なく、私は立ち止まっていた同僚CAにアイコンタクトをして歩き出した。
「知り合い?」
同僚の二木さやかが声を掛ける。
「大学の友達」
「音大の?」
彼女の問いに私は即答する。
「ヤー(その通りよ)!」
「ふーん、そうかぁ……」
連絡通路の廊下を歩きながら、彼女は私に声を発し続けた。
「……でも、思うのよねぇ、ピアニストになりたくて音大通ってた礼子が、どうしてCAになったのかって?」
「答えを知りたい?」 歩くスピードの歩調を合わせながら、私は右隣を歩くさやかに応えを促した。
「知りたい、知りたい!」
「一種の気まぐれなのかもね?」
「気まぐれ? 人生の進路にそれだけの事で決めちゃったの?」
立ち止まる彼女を見て、私は言葉を返した。
「そうね、決めちゃって現在に至るって感じかな」
唖然とした様な表情を見せるさやかを7時の方向(時計でいう7を示す方向、つまり左斜め方向)に見ながら、私は搭乗せん飛行機目指して歩いていた。
1階から2階にあるレストラン街を通り過ぎ、航空会社の関係者だけしか通れない連絡通路に入ると、数メートル手前の私に向かって、一人の女性が歩いている。
私の気配に気付いたか? 女性は笑みを浮かべながら歩くスピードを少し速めて、こちらに向かって歩いてくる。
笑みを浮かべ返す私と、近付いてくる女性との距離が縮まり、そして私の左側を通り過ぎる瞬間、彼女は一瞬立ち止まり、そして声を発した。
「これからフライト?」
「えぇ、広島までね」 「そう、相変わらず忙しそうね」
気遣いの言葉を掛ける彼女を見て、私は笑みを浮かべ声を発する。
「美貴も特技の英語力をフル発揮して、頑張ってるじゃない?」
照れ笑いを浮かべる彼女は言葉を返す。
「そういう礼子も、接客のプロとしてフル発揮してるじゃない?」
フテキな笑みを浮かべる彼女を見て、私は声を発する。
「今度、異業種の女子会をやりましょう」
「いいわね、それ! 幹事他日程が決まったら教えてね、礼子」
右手を振り上げ、歩き出す彼女を見る事なく、私は立ち止まっていた同僚CAにアイコンタクトをして歩き出した。
「知り合い?」
同僚の二木さやかが声を掛ける。
「大学の友達」
「音大の?」
彼女の問いに私は即答する。
「ヤー(その通りよ)!」
「ふーん、そうかぁ……」
連絡通路の廊下を歩きながら、彼女は私に声を発し続けた。
「……でも、思うのよねぇ、ピアニストになりたくて音大通ってた礼子が、どうしてCAになったのかって?」
「答えを知りたい?」 歩くスピードの歩調を合わせながら、私は右隣を歩くさやかに応えを促した。
「知りたい、知りたい!」
「一種の気まぐれなのかもね?」
「気まぐれ? 人生の進路にそれだけの事で決めちゃったの?」
立ち止まる彼女を見て、私は言葉を返した。
「そうね、決めちゃって現在に至るって感じかな」
唖然とした様な表情を見せるさやかを7時の方向(時計でいう7を示す方向、つまり左斜め方向)に見ながら、私は搭乗せん飛行機目指して歩いていた。