アタシはゴミ収集車に恋をする
 急いで階段を降りて、道路を渡って、ゴミ捨て場に行くと、



 グオーン ガチャン
 グオーン ガチャン



…もう来てるよ!






「すみません、待って下さい!」
まただ…と思いつつ、ゴミ収集車にプラゴミをぶち込んでいるお兄さんに言う。

「またネェちゃんかい。道路のミギ・ヒダリの確認もせずに、渡ったら危ないやないか。ほれ、ゴミかしな。」
またこなぃだと同じ人が同じように受け取ってくれた。









優しい…

しかも、アタシのこと覚えてるやん!








 今日は、本当のギリギリにごみを持って行ったわけではないので、ちゃんと目を見て、「ありがとうございました」って言えた。








 でも、その時、そのあんちゃんを見て、アタシは思わずカッコいい!と思ってた。

 26、7歳だろうか。少し色黒で、少しのばした襟足の髪をくくっている。軍手をして、爽やかに汗かいて仕事をしている。


(でも、ゴミ収集にこんなにときめいてるアタシって…???)




 そして、首に阪神タイガースのタオルをかけている。さすが関西。
 そしてまた、彼は汗をひとぬぐいして(もちろん、その阪神タイガースのタオルで)、ゴミ収集車の後ろにつかまって、去っいってしまった。




今日も一層、その彼の背中は輝いてみえた。



でも、私はそれをただの汗が光ってるだけと思いこもうとしてたけど。

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