初めましてなんかじゃない
「桜あのね、真人と私が、キスしたのは本当だけど、別にやましい事なんて無いよ?」

いった、

こんな事で分かるはずもないよね

私が桜の立場だったら、許せないよね

怒鳴っちゃうよ

八つ当たりもするかも

だが、桜は顔を上げてニッコリと笑っていた

「そうだったんだ、やましい事なんて無かったんだ!じゃ葵は・・・」

一瞬だけ喜んだ

だけどそれも束の間

続けられる言葉に恐怖を抱いた

嫌な予感しかなかった

桜の笑顔が怖い

何を言い出すのか、考えられなかった

「やましい事なんて無いなら、だれとでもキス出来ちゃうんだ」

桜は笑顔を絶やさない

間違ってないよ

桜の言ってることは筋が通っている

確かにそう捕らえられる言い方だったね、私

でも、それは違う

誰でもいい訳じゃ無い

「誰とでもできる訳じゃ…」

私の言葉をかき消すように、桜は言い放った

「証明して、やましい事なんかなかったって。私が人に声をかけるからさっきみたいにキスして?そしたら許してあげる」

そういうと、通りすがりの若い男、二人組に声をかけた

そして、間もなく帰ってきた

男二人を引き連れて
< 26 / 60 >

この作品をシェア

pagetop