初めましてなんかじゃない
初恋なんかじゃない
「松橋さん、起きてください、朝ですよ」

ン・・・う

もう、朝か

「ふぁ~、おはようございます」

あくびを小さく一つして

あいさつを交わす

松橋とは、私の名前らしい

松橋 葵

これが私の名前

昨日の彼、沖野、真人に

教えてもらった名前

ちなみに、私を病院まで連れて着たのも

この人だ

私はどうも、記憶喪失らしい

実際、記憶がない今は不思議な気分だ

「じゃあ、今日一日は安静にしていてくださいね」

看護婦さんは私の朝食を置いて行った

右手が骨折なので左手でお粥を食べる

「・・・」

やっぱり、利き手ではない方で食べようとすると

やりずらくて仕方なかった
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