初めましてなんかじゃない
「なーんだ!思い出したんだ?まったく、葵はトロイなぁ」

さっきから出ていた、可愛らしいオーラが急に変わっていく

「とろいくせに、男には手が早いんだから」

口調は、変わらない

見た目も、変わらない

なのに、空気が重くなる

「・・・何?そこは思い出してないワケ?」

私は、まだ、全部思い出していない?

話には続きがあるの?

・・・知りたい

いや、知りたくない

でも、知らなければ、ならない

私のためにも

「ちょーいい頭だね、いやな事は記憶喪失だからって」

言葉の棘が突き刺さる

本当は痛くて痛くてしょうがないはずなのに

なにも、感じない

「私の知らない事、教えて」

気が付いたらそう言っていた
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