世界一幸せな国Ⅰ
男「……?!……お、丁度いい。女がいるじゃねーか」
男が近づいてきた。
私は少し彼方の方を向いて、降りるように合図した。
そして、彼方が降りるのを確認した。
すると、男が殴ろうと手を近づけてきたから、その手を抑えて聞いた。
「あんたの目的は?……そのカバンを見る限り、強盗かなんか?」
男は真っ黒の大きなボストンバッグを屋上の入り口に置いていた。
男「!?……ふふっやるじゃねーの。そうだ、強盗だ。もうじき警察が来るからな、ここなら手出し出来まい」
「ふぅーん、そう。で?なんでここまで上がってきた?必要なかったろ?」
そう、校舎内にいた人でも良かったはず。
なのにここまで上がってきたってことは、何か目的があるはずなのだ。
男はニヤリと笑って言った。
男「俺の目的は……
……近藤藍乃、お前だよ」