世界一幸せな国Ⅰ
お父さんが自殺したって聞いたとき、確かにあの時に不思議に思ったのは事実だ。



お父さんに死ぬような動機なんてなかった。










そこそこいいところに入社して、出世はまあしてたほうだったらしい。




それに近所づきあいも良くて。




1人で私を育てて大変だろうに、休みのときはずっと遊んでくれてたし、私の話だって、笑顔で聞いてくれてた。






だから、信じられなかった。




なのに、あの時の私は信じられなかったけど、疑わなかった。





ああ、お父さんは自殺したんだな……


お父さんも私を置いて逝くんだな……





そう思ってた。







最低だ。





私……最低だ……!










なんで……いつも一緒にいた筈なのに。



いつも傍にいたはずなのに。










なのに、なんで気付けなかった……?!










私は、私の両親を殺したコイツと同じくらい……いや、それ以上に最低だ。
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