世界一幸せな国Ⅰ
「……俺の……せいだ……。俺がもっと強ければ……。俺が……」
喉の奥から溢れ出した声は、響くことなく、誰にも拾われることなく消えた。
早く、来てくれよ。
救急は何をしているんだ。
こちらは今も一刻を争うというのに。
俺は、俺のせいでローナとユアンの笑顔が見られなくなるのが嫌だ。
まだ出会って5年しか経っていない。
あいつらには、まだまだ見ていない景色がいっぱいあるんだ。
あいつらは、まだまだ知らないことが、知らない世界がいっぱいあるんだ。
あいつらの未来を、俺の手で奪いたくはない。
お願いだよ。
助けて……くれよ……