世界一幸せな国Ⅰ
みんなの元へ戻った俺の顔を見たお父様は、優しく笑った。
ア「それでこそ、ボールドウィン家の長男だ」
家族の隣に座った俺は、扉が開くのを静かに待つ。
ローナ、ユアンいい加減出てこい。
──カシャン
音がした方を見てみると、文字の明かりが消えていた。
静かに出てきた医者は口を開いた。
医「ローナ様とユアン様の心臓は、無事回復しました」
あぁ、よかった。
間に合ったんだ。
またあの可愛く優しい笑顔を見せてくれるんだ。
ここにいた家族全員の顔が綻んだ。
メ「よかっ……」
メアリーがよかったと言おうとした時、その言葉はあの医者によって遮られた。
医「しかし……いつ危険な状態になるかは分かりませんし、目が覚めるかも分かりません。もし、目が覚めたとしても、体に後遺症が残る可能性が高いです」
後遺症?
そんなの残ったっていい。
ローナはローナだし、ユアンはユアンだ。
2人であることに変わりはないのだから。
協力して生きていけばいい。
医「私どもの力不足のせいで、小さなお体に傷を残すようなことになってしまいました!大事なお嬢様とご子息様を……申し訳ありません!!」