世界一幸せな国Ⅰ
医者が頭を下げた。
俺たちは驚いて固まってしまった。
ア「謝らないでくれ。私はお礼を言いたい。大切な娘と息子の、命を救ってくれてありがとう。命がある、それだけで充分だ。本当に、ありがとう」
お父様が口を開いた。
深々と頭を下げている。
それに続いて、お母様も頭を下げたため、俺たちもそれに倣った。
本当は、今すぐにでも面会に行きたいところだが、時間はすでに22時を過ぎていたため、明日の朝に行くということになった。
あの2人にとって、5歳の誕生日はどんな思い出になったのだろう。
もっと、楽しいパーティーにしたかった。
来客を呼ばずに、家族だけでもう一度してやろう。
だから、早く目を覚ませよ。
パーティーの準備が終わるのは、直ぐだぞ。