世界一幸せな国Ⅰ
そして、ゆっくり目を開けたユアンは、焦点を合わせるように数回瞬きをした。
ユ「……」
ユアンが何かを求めるように手を伸ばすと、待ってましたとばかりにローナが水を差し出した。
ペットボトルの半分ぐらいまで、一気に水を飲んだユアンは、「はぁ」と大きく息を吐いた。
ユ「遅くなってごめんなさい。おはようございます」
いつもの優しい笑顔で、言った。
俺の、いつもが返ってくる。
ローナも、ユアンも帰ってきた。
今度は忘れずにナースコールを押して、その場に座り込んだ。
「……よかった……!やっと、やっと帰ってきてくれた……!ユアン、怪我をさせてしまって、悪かった!あの時、俺たちを救ってくれて、ありがとう!……本当に、ありがとう……」
俺の目からは、涙が溢れでる。
今日は、どれだけ泣けば済むのだろう。
後ろでは、メアリーとランダも泣いていた。
ローナとユアンは黙ってただ聞いていた。
俺の話が終わったのだとわかったユアンは口を開いた。