世界一幸せな国Ⅰ
普通じゃない2人
「ぷっはぁ!今日もお疲れ様、ユアン!また強くなってるじゃん!」
ユ「それはローナだって一緒でしょ?魔法使えることも考えると、そこそこ強いんじゃないかなぁ……?」
今日のトレーニングを終えた私たちは、闘技場のベンチに座り、ボールドウィン特製のジュースを飲みながら話していた。
ジュースは、マンゴーとオレンジを混ぜたような一般的な味。
しかし色は、オレンジではなく、紫だった。
フルーツも一種類しか使われていないらしい。
なんでもそうなのだが、日本のものとは似ているようで似ていない。
ユ「そういえば……。ローナに聞いてもらいたい話があるんだけど」
「なになに?面白い話??」
そう言ったユアンは、サッと闘技場に防音シールドを張った。
「へ?シールド?……母様たちに聞かれちゃいけない話なの?」
ユ「ずいぶん前なんだけどさ、僕、興味深い資料を見つけたんだ」
そう話したユアンは、私の前にある映像を出した。
どうやら、そのことについてまとめられている資料のようだ。
「……魔族?討伐……。……結構人害多いね」
ユ「そ。それで、国から討伐司令が出てるんだ」
その資料によると、魔族はイノシシや鹿のように畑を荒らし、熊のように人を殺しているようだ。