世界一幸せな国Ⅰ
「楽しかったけど、魚は普通だったね。魔力持ってないみたいだし」
ユ「でもこれで夕食の時に悩まなくて済む!見た目が似ていても中身が違うとかって言うの多いし……」
「あはは、確かに。……次はユアンの行きたい場所行こう?時間はまだあるし」
私の言葉に少し悩んだ顔をしたユアンはしばらく考えて言った。
ユ「……じゃあ、藍乃について来てもらいたい所があるんだ」
「……付いて来てもらいたい?」
私達は、歩いて街を出た。
どこに行くのか聞いても、秘密の一点張りで、ただ付いて行くしかできなかった。
暫くすると、坂道に差し掛かった。
ユ「藍乃大丈夫?しんどくない?」
「大丈夫だよ」
彼の優しいところは、いつも私の事を気にしてくれるところ。
今だって、歩くスピード緩めてくれてる。
時折振り返って声をかけてくれるユアンに、大丈夫と返事をしながら、その坂を登って行った。
太陽は西の空で綺麗なオレンジ色に輝いている。
ユ「……着いた。ここだよ」
「あっ!!」
そこは、大木が一本立っているだけの丘。
とても広い、野原だった。