世界一幸せな国Ⅰ
ユ「……よし」
スッと立った彼は言った。
ユ「もっと居たいところだけど、そろそろ行こっか。……それと、僕は彼方じゃない、ユアンだよ」
「そうだね、ユアン。行こっか。今日はありがとう」
ユ「こちらこそありがとう。また来ようね!」
私達は歩いた。
その丘に名残惜しさを残したまま、ゆっくりと。
「さっきの場所、私たちだけの場所にしたいなぁ。……誰にも気づかれたくないや」
ユ「そこまで喜んでもらえるなんて嬉しいよ!」
「だって本当すごかったじゃん!……あそこって、国の土地だよね。お父様買い取ってくれないかな」
ユ「ローナ、それはまずいよ!家族にあの場所がバレちゃう!」
「あーっ!そっかぁ……じゃあ私たちのってできないね」
たわいもない話をしながら、降りた。
「できれば今度はこの綺麗な気持ちのまま終えたいな」
ユ「もちろんだよ!僕たちは兄弟なんだ!いつでもデートなんてできる!」
力のこもるユアンを見ながら思った。
絶対に今世は死なないし死なせない。
幸せになってみせる、と。