世界一幸せな国Ⅰ
質問に答えて
「結構歩いてない?!まだなの?!」
あれから数十分、丘の麓から街を抜け今度は山に入った私たち。
ユアンの手元にある情報を元に歩いているが、本当にあっているのかと疑いたくなる。
ユ「あっ!」
ユアンが先を指差した。
「着いたの?!」
ユ「あの茂み!あれを抜けた先だよ!」
「えっまだ先なの?!」
正面にある茂みは5歳児からするとすごく高かった。
あまりきれいに整備されていない川の、ススキやセイタカアワダチソウが茂っているようなものだ。
「これ着いても帰りに困るんじゃない?」
ユ「何言ってんの。帰り先は家なんだから、瞬間移動できるじゃん」
「あ、そっか」
そろそろだ、とユアンが言う。
私たちは気を引き締めて歩いた。
──ガサッ
「……ここが……」
ユ「……らしいね」