世界一幸せな国Ⅰ
「……あ、あの、すみません。トイレってどこですか?」
平然を装いながらそぉっと彼らに話しかけた。
ウ「あ、あら!トイレなら反対側よ?この廊下をまっすぐ行った突き当たりにあるわ」
「あ、ありがとうございます」
そう行って、私はその場から走り去った。
少しオドオドとした感じで。
ル「あの子たぶん、今の話聞いてたな。もう1人が気付く前に先に締めとくか」
ウ「その方が良さそうね。……まったく、最近鈍ってきたのかしら……気づかなかったわ」
私は、ユアンと合流した。
「ユアン、録音器具は?」
ユ「ご、ごめん……それが、忘れてきちゃったみたいで……」
ユアンが、子犬のようにシュンとした。
相当責任を感じているようだ。
「そっか、仕方ないね。じゃ、真っ向勝負でいこうか」