世界一幸せな国Ⅰ
ユ「世直しなんて久しぶりだねっ!」
戦闘馬鹿のテンションがとても上がった。
さっきまでの疲れた声が嘘みたいだ。
「でも一回だけだよ?バレたら厄介だし、ヤンキーは卒業したんだから」
ユ「えー!バレるも何も、お父様がちゃんと統治してないのが原因じゃん!」
「それもそうなんだけど……あ、そういえば格好どーすんの?」
ユ「魔法で変わっとく?」
またユアンは……。
彼は、いつも平然と、魔力に限りがあることを知らないかのような発言をする。
「また魔法使うの?本当に分身消えるよ?」
私が言うと、ユアンはうーんと唸った。
どうするべきか考えているらしい。
ユ「わかった。予定より早くなるけど、終わったら帰ろう。そしたら持つでしょ?」
かなりの時間考えたようだったが、彼にも対策案は見つからなかったようだ。
「ところで他にしたいことって何だったの?」
私が聞くと、ユアンは少し照れたようにして言った。
ユ「……朝日。夕日見て、夜空見て、朝日見てって……空の変化を全部2人きりで見たかった」