世界一幸せな国Ⅰ


ア「お前たちは昨日、北西部の繁華街にいたな。

カーソルト人はこの領地にはいない。

しかし、カーソルト人系の二人組の目撃情報があった。


お前たちの、前世の姿じゃないか?



2人とも得意だろう、化けるのは。


退院時も俺たちに化けて手続きを済ませていたし……。





違うのなら無断侵入ということになるが」




この空気には押しつぶされそうな気がする。



なんと答えるのが正しいのか。


まず正解なんてあるのか。







私が黙り続けていると、ユアンが顔を上げて言った。



ユ「はい、それは僕たちです。……その町の状況を見て、チームを作りたいと思いました」




お父様はユアンの目をじっと見た。


お互い全く逸らさない。




ア「まず何も言わずに出て行ったことは許されないことだ、分かるな?家にいるはずの2人にもし外で何かあっても、俺たちはすぐには動けない。それは嫌だ」



「うん」




お父様の雰囲気が変わったのがわかり、安堵しながら頷いた。



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