世界一幸せな国Ⅰ
悠「そっか……」
悠馬は、優しく切なく、こちらを向いて微笑んだ。
悠「登録は終わり。他にもいろいろオプションつけるとか神が言ってきたから、なんかいいことがあるかもしれないな……。俺とお前らも、またサヨナラだ。今すぐタザラントリスに向かうことになるからな。あの光っているところに向かって走っていくんだ」
「……そっか。ありがとうね、悠馬。いっぱい助かったよ。また会おうね!」
悠「やだよ、死ぬ気満々じゃねーか。くるなら最低でも60年は経ってからにしてくれ」
「下の60年、上では短いんじゃない?またすぐに会えるね。……その時は、また私達の担当をしてよ」
悠「あったりまえだ!……彼方、元気でな。藍乃のこと、幸せにしてやれよ」
彼「そんなの、当然でしょ?!……っ、俺を、なんだと思ってんの?!」
彼方が詰まった声を出した。
悠「泣くのは頂けねぇな。俺はサヨナラは笑ってしたい派だ。それは俺が人間界にいた頃にも言っただろ?」
彼「……そっ、だね……!悠馬、今までありがとう。生きてた時も、死んだ後も。今言うことじゃないけどさ、僕たちを守ってくれてありがとう。おかげでこんなに楽しかったんだよ!」
涙を拭った彼方が言った。
「本当今も昔もありがとう!じゃ、またね」
悠「……。お前ら、二度とあんな人生歩むんじゃねえぞ!幸せになれ!」
少し黙って、寂しそうにした悠馬だったが、意を決したように言った。
彼「もちろん、じゃ、本当にバイバイ!」
「また会おうね!」
そう言って、光に向かって走り出した私達はもう振り返ることはなかった。
振り返ったら涙がばれてしまうから。