世界一幸せな国Ⅰ
他の家族のことはまた別の機会にするとして……。
今私たちは、新たな情報を調べている。
(あ。レオお兄様がいる)
そこにいたのは、数学の教本を探しているレオだった。
「にーっ、あ、あうーっ!!」
彼が着ている服を引っ張り、呼ぶ。
レ「ローナ、どうしたの?」
レオが優しい笑顔でこちらを向き、目線を合わせてきた。
「あーえ、あーえ!!」
服を引っ張り本の元へ連れて行き、ほしい本を指差した。
「あーえー!」
レ「本が読みたいの?これ?」
「やー!やーの!」
彼が指差した本は、一段下のものだった。
レ「これ?」
「やーの!」
惜しい、あとふたつ左だ。
レ「これ?」
「きゃ、きゃははは!」
そう、それだ!
欲しいものが取ってもらえた私は、笑顔で手を振る。
レ「この本は重いから、僕がそこまで持って行ってあげよう。それにしても、ローナとユアンは難しい本ばかり読むね。将来は天才だ!なんて」
「あはーっ!きゃあ、おーう?」
私は喋れないため、なんとも不思議なやりとりになったが、レオが本を持って、子供椅子のところまで持って行ってくれた。
そして、必死に追いついてきた私を抱き上げて、椅子に乗せてくれた。
「にーに、あーと!」
レ「!!ローナ、今喋ったね!」
レオは、とても嬉しそうな笑顔で笑い、私の頭を撫でてくれた。
これが、私が初めて喋った言葉になるのだが、これがのちに大騒ぎになる。
私の頭を撫でていたレオは、不機嫌そうに呼ぶ(ローナが頭を撫でてもらっていたことに対する嫉妬)ユアンの元へと行き、ユアンにもまた、本を取ってあげていた。