世界一幸せな国Ⅰ
レオにとってもらった本を読み始めてしばらく、彼は数学の教本を持って部屋へ行った。
しかし、本を読んでいると、すごい勢いで家族が入ってきた。
バ「ローナ、喋ったって本当?!」
メ「お兄様ばっかりずるいっ!」
ア「パパって呼んでおくれ!」
ラ「ローナちゃん、すごいっ!」
レ「おめでとう、ローナ」
二人の机へ駆けてきた。
図書館では静かに。という最低限のマナーさえも無視だ。
「ぱ……ぱぁぱ、みゃ……まぁま、メアリーねぇね、レオにぃに、りゃ、りゃ、りゃンダにぃに……ユアン」
とてつもなく苦労はしたが、晴れて、全員の名前を呼ぶことができた。
すると、拗ねてしまったユアンが喋ったのだ。
ユ「ぼくりゃて、ぼくりゃってはなしゅもんー!」
こ、こいつ……
単語すっ飛ばしやがった……。
ユ「りょーナばっかりじゅるい!ぼくもはなしぇるようになたーっ!」
「「「「「えー?!」」」」」
「しゃしゅがユアン」
この馬鹿双子は、本来1歳半以降にできるようになる「話す」という行動を、半分の月日で成し遂げたのだった。
単語で話す?
そんなものは彼らには必要なかった。